12.9大学とお金の話

更新日 2021年6月27日


極端な意見にだまされてはいけない

最初に申し上げておくと、私はお金だけでモノを判断するのは嫌いです。

自分自身も、給料はもちろんですが、給料以外の要素も踏まえて仕事を決めますし、付き合う友人も明確にやりたいことをもっている人の方がおもしろいと思っています。


ですが、極少数の成功した人が「学歴なぞ必要ない」と高らかに言いふらすことで、少し極端な認識が受験生にも伝わっている気がしてなりません。

確かに学歴がなくても成功する人はいますが、逆にそういう人はとてつもない天才か、狂気にも似た行動力を持った人です。

そんな人のいうことが、誰にでも合てはまるように捉えるのは非常に危険です。


すでに述べたように、実力主義の外資でも、採用は超学歴重視です。
『12.2 学歴社会の実態と付き合い方』

それに『学歴』自体に意味がなくても、学歴を得る中で身に着けた『モノの学び方』は相当な財産ですし、社会としてもそれを強く評価します。




大学ごとの平均年収、これでも学歴は関係ない?

「学歴社会が良いか悪いか」みたいな議論はおいておき、実態をお伝えします。

以下は卒業大学ごとの30歳時の平均年収です。



学歴が関係ないならこのグラフはまっすぐになるはずです。

ところが上位の大学と、このグラフにおける下部の大学では、200万円以上の差があります。



次に別ソースですが、出身大学別に24~35歳における平均年収を見てみます。


さらに驚きませんか?

年齢が高くなるほど、その差はさらに拡大する傾向にあるのです。

これでも「学歴は関係ない」と言い切れますでしょうか?


もう一度言いますが、極一部の超天才、鬼才には学歴なんぞ必要ありません。

そんな人はどんな環境にいても勝手に芽が出ます。


ですが自分が超天才だと思わないならば、『学歴』はまだ重要です。

受験を通して「努力」や「工夫」をした証にはなりますし、やりたいことが出てきたときに便利な切符にはなってくれます。
(一流企業だと、そもそも学歴がないと面接を受けれないという、通称「学歴フィルター」は根強く存在します)

それにただの証だけではなく、学歴を得る中で身に着けた『モノの学び方』はあなたが何かをやりたいと思ったときに必ず役に立ちます。




勉強の時給はいくらか?

本来こういう考え方は好きではないですが、分かりやすいので、批判を承知で記載します。

あなたが勉強する1時間は、時給に換算するといくらになると思いますか?

例えば以下のような考え方ができないでしょうか?



大分仮定が入っていますが、生涯年数から考えると勉強の時給は10万円と考えることもできるわけです。

「早く大学入ってバイトしたい」と思うなら、高校生の内に1時間でも勉強した方がいいかもしれません。

こんな試算がもしモチベーションになったらうれしいです。




(参考)医学部の学費


医学部はお金がかかるとよくいいます。

ですが、「お金がかかる」というだけで、実際どのくらいの学費を知らない受験生がいました。

そこで例として医学部の6年間の学費をまとめてみました。



見るからにはっきり差が出ます。

確かに私立の医学部は2000万円から3000万円の費用が掛かりますが、国公立ならばその1/6の350万円です。

もちろん狭き門ですが、国公立の医学部に合格できたら、1700~2700万円もの節約になるし、医学部以外の学費と変わらない金額で、医学部にいけるわけです。

何も迷うことはありません。

親に迷惑を掛けて申し訳ないと思うなら、なおのことがんばるだけです。



なお「学費以外に塾にお金がかかる」という人もいますが、塾に頼っている人の難関大の合格率はむしろ低いです(塾の人は死んでもこんなことを言わないでしょうが)
『6.1 塾に頼る人は合格率が低い』


「親の経済格差で子供に影響が出る」という話をよく聞きますが、私の勝手な持論では「経済格差よりも親の勉強する姿勢の差が子供に影響を与えているのではないか」と思っています

「経済の差」はどうしようもないですが、「勉強の姿勢」「勉強のやり方」は親以外からでも学べます。

試験一発勝負というのも救いです。
欧米は、相当な天才を除き、金持ちでないと現実問題としてエリート大学に入れませんが、日本だったら試験一発勝負で入学可能です。


色んな事情がある中で無責任なことを言って申し訳ないですが、塾にもいけず孤独に戦う受験生に、少しでもサポートになれば幸いです。